昨年12月21日、弁護士フェスタの一企画として、日本将棋連盟所属の飯塚祐紀六段をお招きし、将棋指導対局が行われた。同企画は毎年恒例であるが、今年は偶然企画会場付近で高校生将棋関東大会が行われていてその関係者が参加したこともあり、立見が出るほどの盛況であった。
四枚落ちで一生懸命指していた中学1年生、平手(ハンディなし)で果敢に挑んでいた高校1年生、飛車落ちでプロと渡り合っていたアマ四段の実力の高校3年生、二枚落ちで強手連発で攻め倒した女子高生、平手でプロを追い込んでいたロースクール生、二枚落ちで老獪な指し回しをみせプロを寄せ付けなかった壮年の方など、幅広い来場者がプロとの間で熱戦を繰り広げた。飯塚六段も多面指しながら来場者一人ひとりに丁寧な指導をされ、対局後には、対局者のみならずギャラリーもその解説に聞き入って熱心に検討していた。予定時間を1時間ほど超えても指導対局が続くほど、大変好評を博した。
羽生善治と渡辺明の初代永世竜王をかけての対決や里見香奈女流の倉敷藤花奪取、漫画「ハチワンダイバー」のドラマ化等により将棋界は盛り上がっているが、今回の企画のように憧れのプロに直接指導してもらうことは、熱心に将棋に取り組む良い契機となると思う。その意味で、今回の企画により、我が国の伝統文化の一つである将棋の裾野を広げることに少しは寄与できたと思う。
また今回の来場者の中から、第二の羽生善治、渡辺明、里見香奈が生まれて、次世代の将棋界を牽引してもらうことを期待したい。
(会員 種村 求)
横浜弁護士会新聞 2009年2月号より転載